西遊記(羅刹女の章)

完璧に、パロディーですm(_ _)m


天竺をめざして、西へ進む三蔵法師一行は、燃える山に出くわしていた。

火炎山と呼ばれる火の山。文字どうり、山が丸ごと燃えていて先へは進めない。
ふもとの街は、年中、真夏の暑さに苦しんでいた。

「これは、いわゆるアクシデントって奴だ。雲に乗って、ヒョーイと山越えしてさ・・・」
悟空は、言いかけたが、三蔵の苦笑した顔をみてやめた。

「どーせ、妖術はダメってとこだろーさ。はいはい。ものすご~~~く遠回りしましょ。
天竺に辿りつくまでに、師匠の寿命が もつかどうか疑問だぞ。」

ぶつぶつ悟空が文句を言っていると、街の人たちが、やってきた。

「もし、旅のお方・・あの山の火を消す方法があるのですが、やって頂けますか?」
街の長らしい老人が、三蔵に話しかけた。

「方法があると?」三蔵が聞く。

「はい。雨にも嵐にも、あの山の火は消えることがありませんが、
羅刹女という妖怪が持っている、「芭蕉扇」があればと思うのです。
芭蕉扇の力なら、あの山の火を、吹き消す事ができるでしょう。」

「羅刹女?」悟空が聞く。
「はい。翠雲山の芭蕉洞に住む、女人の妖怪ですが、いくら頼んでも、貸してくれないのです。」

悟空は、にやりと笑う。「な~るほど。ケチな妖怪だ。ぶん殴って借りてくりゃいいんだな」

八戒が目をハートマークにして、慌てて聞く。「そのひと、美人かな~♪」
「そうですね。見たものの話によれば、たいそう可愛いと・・・」
「わーっ兄貴、俺も行く行く♪芭蕉扇、借りてきてあげる~~♪」と、はしゃぐ八戒。


と、いう訳で、八戒と悟空が、雲に乗って、ひとっ飛び。翠雲洞まで使いに出た。




「詐欺だ~~」


芭蕉洞の扉を叩き、出てきた妖怪、羅刹女を見て、八戒は、天を仰いで叫んだ。
悟空は、その横でげんなりしてタメ息をつく。

妖怪猿と妖怪ブタの前には、見た目7~8才くらいの小さな少女が腕を組んで立っていた。

「なによっ。あんたたち。いきなり来て詐欺呼ばわり?随分ごあいさつね。」と、少女は言う。

八戒は、おいおい泣いている。
悟空は、渋い顔で、頭を掻く。

「え~と~。実は、この先の山が燃えててさ。通れなくて困ってんだ。
街の人が言うには、あんたの持ってる「芭蕉扇」ってやつで仰げば火が消せるのにってさ。
でも、あんたは貸してくれないってんで。え~と~ああ。困った・・」


「芭蕉扇を貸せっていうの?!冗談じゃないわ!」

悟空は、睨む小さな女の子を前にして、すっかり困ってしまった。

貸すのを渋ったら、たたきのめして芭蕉扇を奪い取るさと思って来たのに。これは殴れない。
妖怪には違いないのだが、見た目がこれでは戦っても寝覚めが悪い。


八戒は、まだ泣いていた。
「どんな綺麗な人かと思って来たのに~~こんな、ちっこいなんて~~ぶきっ・・・・
やかましいと、悟空が、八戒の頭を殴って黙らせる。

「こいつの世迷言は別として。とにかく芭蕉扇貸してくれ。山火事消したら返すから。」
悟空が、めずらしく一生懸命頼む。


「誰が貸すものですか。おとといおいで。」

にべもない態度に悟空もムッとする。
「おまえなぁ。妖怪なら、俺のことくらい知ってるだろう。勝てるとでも思ってんのか。」

悟空がすごむので、八戒は、びっくりする。「兄貴、非道~~~。女の子だよ~。」

「うるせーっ!」悟空はだんだんイライラしてきた。


羅刹女は、無言で悟空を睨んでいたが、

やがて、洞穴に入り、大きな扇をかついで、戻ってきた。
巨大な芭蕉の葉で作られた、秘宝「芭蕉扇」だった。


悟空は、バツが悪そうに頭を掻く。
「いや~。ごめんよ~。悪いな。こんな風に脅かすつもりは・・・・へ?」

羅刹女は、にっこり笑うと、芭蕉扇を大きく振りかぶった。

「ちょっ!ちょっ・・ちょっと待てっ!」悟空は慌てた。

「千里のかなたまで飛んでいっておしまい!!」


ばおーぉぉぉーんっ ものすごい風圧に押し飛ばされ 悟空は!

あぁぁぁぁぁーーーーぁぁぁーーーおーぼーえーてーろー・ ・ ・ 」 ・・・ あっという間に空に消えた。


「わー兄貴~~」八戒が、飛ばされた悟空を追って、走っていった。

「あはははははっ」
羅刹女が、勝ち誇ったように笑う。

「他愛のない。昔、天上界で暴れたかなんだか知らないけど、所詮は猿ね。」







どこまで飛ばされたのだろう。


気がつくと、悟空は、霧の立ち込める山の頂に、さかさに めり込んでいた
しばらく唖然としていたが、怒りが沸々と込上げ 金色の目が燃えるように光りだした。

「・・ぁんのヤローっ!!(ヤローではない)ぶちのめすーっ!!」

悟空は、めり込んでいた山から、ばこんっと飛び出すと、
「觔斗雲っ!」と、光る雲を呼び、勢い込んで飛び乗り、吸い込まれるように空に消えた。


翠雲山 目指して、悟空が觔斗雲を飛ばす。

「ぜったい殴ってやる。ぜったい殴ってやるーっ!」




                                            



                             次は、牛魔王登場です。
                             本当は、牛魔王は、羅刹女の夫なのですが。
                             うちの牛魔王は、魔王という名の牛です。



                 おまけのはなし

                            悟空の乗る金色の雲、「觔斗雲」「筋斗雲」「金斗雲」??
                            金色の雲だから、「金斗雲」かなと思っていたら、
                            「筋斗」というのは「とんぼ返り」と言う意味なのだと聞きました。
                            とんぼ返りする様を現したのですね。

                            羅刹女の名前は、鉄扇姫だったりもします。
                            住んでいる場所や、名前や、どれが本当なのか。
                            好きな名前で、好きに書いています。