西遊記(牛魔王の章)
パロディーですから・・m(_ _)m
「殴ってやる。ぜったい殴ってやる~~っ!!」 小さな女妖怪。羅刹女によって、爆風を巻き起こす芭蕉扇で、千里も先まで飛ばされた孫悟空。 手には如意棒。怒りで顔を 真っ赤にしながら、おっそろしいスピードで觔斗雲を飛ばす。 「ちっこいからって許さね~~っ!ぜったい殴る~~っ!」 かつてないほどの怒りの速さで翠雲山にトンボ返り。 羅刹女の住む芭蕉洞に、そのまま飛び込まんばかりに急降下。「羅刹女~~っ!!」 キキーッと寸前で急ブレーキ。 あまりの勢いに、土煙が舞い上がり、洞の回りの木々の枝が飛び上がる。 「出でこい!小娘!殴ってやる!」 「ぶも~っ」 「ぶも?」 悟空はキョトンとしたが、次の瞬間、巨大な黒い物体の体当たりを受けた。 どごーんっ!「わーっ!」悟空は、何がなんだか分からないまま引っくり返る。 「なんだなんだっ!」面食らって目の前を見ると、 「ぶふぉ~っぶふぉ~っ」 蹄で土を掻き、黒い牛が、鼻息を荒げて再度突進してきた。 あっけにとられている場合ではない。悟空は如意棒を構え、角を抑える。 ガキンっと鈍い音がして、さすがの悟空も踏ん張った足が土煙を上げて後ずさる。 「こぉの・・鈍牛っ!てめぇに用はねぇっ!牛鍋にするぞ!」 ギリギリと押されながら悟空が叫ぶ。 その時、芭蕉洞の扉が開き、羅刹女が顔を出した。 「牛魔王~、ご飯ですよ~・・って、あんた!あたしの牛魔王に何してんのよ!」 「バカヤローっ!何かされてんのはコッチの方だ!」 悟空も言い返す。「何が牛魔王だっ。思いっきり、ただの牛じゃねーか!」 羅刹女は、足を踏み鳴らす。 「よくも言ったわねっ! 牛魔王、その猿つぶしておしまい!」 主人の言葉を受けて、牛(もとい牛魔王)は太い首を振り切り悟空を弾き飛ばす。 「ぶも~っ」荒々しい地響きを起こしながら、向かってくる。 「調子にのるなーっ!」 悟空の如意棒が、ギュンと地を這うように一気に伸び、牛魔王の足をすくう。 どどどんっと音をたて、牛魔王が、もんどりうって倒れこんだところに、跳びかかる。 牛魔王も負けてはいない。跳びかかる猿を角で迎え撃ちながら起き上がり 巨体を思い切りぶつけて応戦する。 戦いがヒートアップしてくると、悟空の顔が変わってくる。 かつて天空を暴れまわった妖怪猿の本性が現れ、金色の目が燃え上がる。 「え?」 様子が変わったことに気がついた羅刹女は驚いた。 「牛魔王ーっ。あぶないっ」 怒りで沸騰している悟空は、羅刹女が走ってきていることに気がつかず、 おもいっきり如意棒を振り、牛魔王の身体をなぎ払うように横に飛ばした。 「牛魔王ーっ!」 走ってくる羅刹女に、牛魔王の身体が真正面に飛んでいく。 「わっ!」 悟空も、さすがに気がついて慌てたが間に合わない。 どどどどどーんっ! 悟空は、あわわと目を丸くしてしまった。どうしよう。どうしよう。 やがて、土煙が落ち着いて、恐る恐る目を凝らしてみる。 「あ・・あれ?」 激突したはずの羅刹女と牛魔王が、 丸い水のかたまりの中に、ぼよん、ぼよんと浮かんでいた。 「あっ。沙悟浄の水術っ。」 悟空は、ほっとした。 「あにき~」 声のほうを振り向くと、八戒が走ってくる。後ろから沙悟浄。三蔵法師も来た。 「ほっほっほっ。お猿さん、無茶しよる」 沙悟浄が笑う。 水の球は、すぐにビシャンと弾け、羅刹女と牛魔王は地面にひっくり返った。 この状況は、どう見ても悟空が不利。相手は小さな女の子。 案の定、僧とは思えないほどの三蔵のゲンコツが落ちてきた。 「痛って~っ!てめぇ、それでも坊さんかっ」 羅刹女は、はっと我にかえった。 「牛魔王、大丈夫?怪我はない?」牛の背中を一生懸命なでてやる。 牛魔王は、目がナルトくるくる失神状態だったが、どうやら無事だとわかった。 羅刹女は、三蔵法師を見る。 「凶暴な猿から、私たちを助けてくれたのだもの。お礼はしなくてはいけないわね。」 ぬれてしまった服の裾を絞りながら、 「山の火、消してあげるわよ」と、言った。 「う~~。」悟空は唸る。 「あにき、無理無理。今回は分が悪いって。」と、八戒が言う。 たしかに、反省しなくてはいけないと思うのだが、どうにも納得いかない悟空。 「見た目で善悪決めるなよな~」 とにもかくにも、 羅刹女は、三蔵法師のために、火炎山の火を消してくれると約束した。 「芭蕉扇を貸してくれるのか?」と、悟空が聞く。 「貸さないわよ。ばかね。消してやるって言ってるでしょ。」 やっぱり、こいつ嫌いだ~。と思う悟空だった。 その後の話の漫画です。別窓、2ページあります。 |