西遊記(八戒の章)
くれぐれも、パロディーですm(_ _)m
「でかい図体でピーピー泣くな!」 如意棒を片手に悟空が怒鳴る。
その、如意棒で殴られたらしい大きなコブを頭に こさえて、豚が床に突っ伏して泣いていた。
人間の娘を強奪しようと 夜中に娘の部屋に乗り込んできた妖怪豚だった。
偶然、この町に立ち寄った三蔵と悟空は、娘の親から頼まれて、
この夜、妖怪豚退治に、待っていたのだった。
「ひどいよ〜ひどいよ〜」 豚はまだ泣く。
悟空は、イライラしてきた。
「何がひどいって。人間の娘攫おうとするテメーが悪いだろ」
騒ぎを聞きつけて、階下から、この家の主人と娘、三蔵が部屋に入ってきた。
娘の姿を見るなり、豚はガバと起き上がり、走り寄る!。
「好きだぁー♪」
「きゃーーー」
ボカっ
悟空の如意棒が、豚のコブをダブルにした。
「ひどいよ〜ひどいよ〜」再び豚は泣き始めた。
「どうしてダメなんだ。幸せにするよ〜約束するよ〜こんなに好きなのに〜」と、泣く。
悟空はゲンナリしながら豚の傍らにしゃがみこんで背中をポンと叩く。
「おまえなぁ・・・豚が人間に惚れてどうする。あきらめろ」
「うう・・豚は恋をしてはいけないなんて、そんな理不尽な・・あんまりだ・・」と泣く。
様子を見ていた三蔵が呟く。
「たしかに、そうだな。お前にも恋をする権利はある。」
「まぜっかえすなーー!!」
悟空が三蔵を睨む。
「だが、この娘は嫌だと言っている。それは分るな?」
三蔵に言われて、豚は泣きやむ。しおらしく正座して うな垂れる。
「俺を、好きになってくれる娘はいるだろうか・・・」豚が言う。
「それは、お前次第だろうな。少なくとも、無理やり攫うような奴は誰も好きになるものか」
三蔵の言葉に悟空は頭を抱えた。
「おっさ・・・いや、師匠・・無責任な事いうなよ・・」
自分を磨くため、かわいい嫁をもらうため、妖怪豚は、三蔵に弟子入りを懇願した。
街を離れ、西へと進む一行。
妖怪豚は、八戒と名前をもらい、嬉しそうに三蔵の馬の後ろから着いてくる。
楽しそうにしている馬上の三蔵を振り返り、見上げながら悟空が言う。
「師匠が恋の話をするとは思わなかったぞ。坊さんなのに」
三蔵は意外そうな顔をしていう。
「何を言う。恋は良いものだぞ」
「ええええ!!」 悟空は思わず、後ずさる。
「好きなものを絶つから修行というのだ。おまえは僧侶を誤解しているな」
「へ・・へええ・・さようで・・」
納得いかない悟空だったが、考えるのも疲れてきたので、曖昧にしておいた。
「おれ・・まちがった奴の供してないかぁ・・?」
八戒は、少しだけ、名残りおしそうに、街を振り返る。
「お師匠様!おれ、りっぱな豚になりますからね。誰からも尊敬される豚になるんだ♪」
無邪気な笑顔を見て、悟空は軽い目眩を覚えた。
「おさるの兄貴もよろしくね♪」
「誰が おさるだ!俺の名前は斉天大聖孫悟空だ!」
幸せそうな妖怪豚を睨みながら、悟空はふと思った。
「弟子になるって事は、こいつも僧侶になるんじゃねーか。あれ?嫁?いいのか?」
話がややこしくなるので、ほっておくことにした悟空だった。
次は、つかみどころのない沼の主
沙悟浄じいさんの登場です。
あとがき 三蔵法師が、ますます別人になっていく。う〜ん。
どこまで壊れる私の西遊記。
うちの西遊記は、八戒さん、生粋の妖怪豚です。
原作では違うんですけどね(^^ゞ
次回登場の沙悟浄も、原作とはちがって、
生粋の妖怪です。
型やぶりな坊さんと、妖怪三人組が、頑張る話になります