三つ子の魔法使い  その1

                           人質奪還 


     暗い暗い、闇の森には、闇の国。人ならざる闇人の姿は漆黒の揺れる影に光る赤い目。
                 時折、攻めてきては欲しいものを奪っていく。
           折り合って、生きていく?それとも、国の命運をかけて、闇の国と戦う?



夜も更けた頃、ふと、人の話し声。
ニナは、ベットから降り、話し声のする部屋を、
そっと覗いてみました。

兄と、その友人二人が、灯りを落とした部屋にいました。
各々、弓や刀を装備し、まるで戦の準備です。

「レト兄?。」
声をかけると、三人は同時にビックリ飛び上がり、
慌ててシッというように指を口に当てました。

「ニナ、夜明けと同時に開戦だよ」と、兄が言いました。

ニナは目を丸くしました。闇の国と、戦。
賢い彼女は、全てを察しました。

ニナには、もう一人、三つ子で生まれた、兄がいます。
今、まさに、戦をしようとしている国にいるのです。

兄たちは、盟約で相手方に差し出されている人質を、
開戦前に奪還しようとしているのです。


人質として出されるのは、本来なら王族の子。でも、ニナたちの王は、まだ若く、子どもがいません。
そこで、国の宰相を兼ねる魔法使いの家系に、三つ子がいると言う事で、一人を出す事になったのです。

相手国は、扱いやすい女の子を欲しがりましたが、二人の兄が断固として拒みました。
次兄のルカが、闇の国へ行き、あれから2年。
思慮深い長兄と比べて、やんちゃな次兄は、今頃どうしているのか。

「王様は、ルカを見捨てた」 ニナが呟くと、「ニナ、ニナ、」長兄が、ニナの肩を少し強く掴んで言いました。

「2年待ったんだ。闇の国に対抗できる力がついたから、やっと許してもらったんだよ。」
ニナは、その言葉で、はっと気がつきました。レト兄は、ずっと、機会を待っていたのです。


「私も行く」ニナが言いました。
何か言おうとする三つ子の長兄の言葉をさえぎり、ニナは急いで、身支度を始めます。

「レト兄より、私のほうがルカ兄を見つけられる。」

これは事実でした。
三つ子ではありますが、長兄のレトは魔法は苦手。剣の方が得意です。
比べて、ルカとニナは、心的にも強い繋がりがあり、二人とも魔法が得意でした。

レトも、この妹が、一度決心したら動かない事を知ってましたので、
ルカの居場所を感知できるギリギリ近くまでならと、連れて行くことになりました。



           暗い暗い森の奥。  昼でも暗い闇の森。  闇の城は森の奥。
       みつけられる? 同じ血を分けた 三つ子の子。 小さな魔女さん、あなたに分る?



闇の森を静かに進み、闇の城の近くまで来ました。
ニナは、ここまでです。
かえって足手まといになるからです。

ニナは、レトに、自分の声が届くよう、
魔法の呪文をかけました。
これで、連絡できます。

三人は、闇の城めざして、走っていきました。
ニナは、魔法陣を書き、中央に座ります。
小さな水晶玉を胸に握り締め、
しずかに、意識を、闇の城に飛ばします。

・・・レト兄がいくよ。むかえにいくよ・・どこにいるの・・

いく時過ぎたでしょう。 どんなに頑張ってみても、闇の城の中は、まったく見えませんでした。

深い深い闇ばかりが、頭の中に、どんよりと浮かびます。
自分の能力の不甲斐なさと、三つ子の兄が、こんな闇の中にいるのかと思い、ニナは泣きたくなりました。

そのときです。

頭の中に、白い光が走り、映像が映りました。   「いた!」

まちがいありません。小さな頃から、ルカの目を通して物を見る遊びは、よくやりました。
これは、ルカの目で見ている状況です。

「レト!レト兄! ルカ兄を見つけた!」矢のような思考を、長兄に送ります。

「階段が見える。近くに炎が上がってる。白い鳥のようなのが見える。それからそれから・・・」
ニナは、見えているものを、片っ端から伝え続けました。

階段を、どんどん、降りていく様子が映ります。ルカが気がついて、走っているのに違いありません。
どうやら、おもいっきり元気なようです。


その時、頭の中の視界が、大きく回り、ニナは驚いて、ひっくり返ってしまいました。
ルカ自身がひっくり返ったのでしょうか。ニナまで目を回してしまいました。

同時に!
かん高い恐ろしい声が耳をつんざきます。見上げると、赤い目が二つ。
闇の使いの魔物が、こうもりのような羽を広げて、舞い降りて来ました。

ニナの魔方陣は、倒れこんだ勢いで、文字が削れてしまっています。
「しまった!みつかった。」
魔物はニナめがけて襲い掛かります。


ニナは、ギュッと目をつぶり、覚悟しました。ものすごい魔物の声が耳の側で響きます。
「ギャー!ギャッ!ギャッ!」

でも、覚悟していた痛みも何もなく、また、静かになりました。
(あれ?)
おそるおそる目を開けてみると、目の前に、魔物がひっくりかえっていたので仰天しました。
魔物の首には、大きな矢が刺さっていました。


「よかった。間に合ったね」
声の方に目をむけると、レトと一緒に闇の城に向かったゴーラでした。
ニナとルカの接触が成功した時点で、レトは、一人を妹の護衛に戻したのでした。

「いけないわ。今度はレト兄たちが危ない。」ニナが震えながら言いますと、ゴーラは笑いました。
「大丈夫だよ。ルカの居場所も、元気な事も分ったんだから、今は手勢が3人だろ?」

「そろそろ、王様の軍隊が、闇の森を囲んでいるはずだよ。急ごう。」
ゴーラに言われて、ニナは、慌てて立ち上がりました。

ざわめき始めた闇の森、これで済んだと思うなと、呻いているようでした。




                                         




                            ポポロクロイスみたいな物語書きたかったのですが、
                            何かちがう・・。く・・暗・・。
                            もっと、メルヘンチックにしたいのですが、
                            私には無理なのかな(泣)
                            うう。負けるものですか。めざせ、かわいいメルヘンチック。