怪談の部屋  



理解の出来ない、不思議な事、暗闇を怖がる気持ち。子どものころの、こういった気持ちって、大切だと思います。
堅苦しい事ではなくて・・・なんとなく、物言わないものや、自然の理を、畏怖する気持ちが、入り込むと思うのです。

でも、トラウマになるほど脅かすのは、無意味でしょう。と、いうより、絶対ダメしょう。

なまはげ祭りを見て、なるほど〜と思ったのは、子どもを脅かす時、
ちゃんと、母親にしがみつかせているのですね。これが、大切な事なのですね。

妖怪とユーレイは、まったく違うものですよね(^^;)妖怪が怖くないと言う訳ではないのですが、
これは、畏怖と尊敬を持って、接する先人という感じがします。

人間と、異質な存在でありながらも、互いに、嫌でも共存している。そんな気がするのです。
罰があたるよ・・誰かが見てるよ・・の、誰かとは、自分の良心だと思うのです。


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  小泉八雲
   雪女   領域を汚す人間を許さない、美しい自然の化身。吹雪の山、入り込んだ人間を、
  氷の息で排除するために現れた雪女。でも、人間の若者を殺めることをためらいます。
  「おまえは まだ 若い・・」覗き込んだ白い顔。
  これほど恐くて美しい化身がいるでしょうか。世界さがしても、そうはいないでしょう。
   耳なし芳一   目の見えない琵琶法師が、亡霊と知らず、導かれた場所で、毎夜、琵琶をひく。
  それに気づいた、和尚様が、亡霊が迎えに来ても姿が見えないよう、体中に経を書きます。
  でも、耳だけ経を書き忘れていたのです。
  壇ノ浦の平家の亡霊を前に、琵琶をひく。毎夜、迎えに来る武者の亡霊の質感の恐さ。
  日本の亡霊話にしては、すごくリアルで力強く、恐い話でした。
   むじな   ろくろ首は、首が伸びますが、むじなは首がはずれます。
  夜な夜な、首だけになって森の中を食料を探して飛び回る。こ・・恐すぎます。
  むじなは、首が、体に戻れなかったら、しんでしまいます。体を隠されたむじなは怒り、
  首が噛み付いてくるという。もう、逃げたくなるような話でした。
 日本の怪談・落語
   のっぺら   顔のパーツがないという、のっぺらぼう。「こんな顔か〜い」って、ペローンとなくなる目鼻口。
  でも・・何を、どうやって食べてるのかなと思ってしまいますね。
   おいてけぼり   魚を釣って帰ろうとすると、背後から声が・・・堀の中から声がするのです。
  「おいていけ〜釣った魚、おいていけ〜」。思うに。夜、釣堀に行かないように、
  こんな話ができたのかなと、想像しました。
   うわばみ   うわばみが、人間を飲み込んで、膨れたお腹が苦しくて、ある薬草を食べて消化。
  それを見ていた男が、消化薬の草だと思い込み、蕎麦の大食い対決に持って行きます。
  お腹いっぱいになったとき、この草を食べて・・・蕎麦が着物を着ていたという話。
   猫の旅館    15年生きた猫は化けると言われていた時代の話。今だったら化け猫だらけですね。
  山の旅館に来た男の人。お風呂に入れといわれ、湯殿に行くと、そこにいたお女中が、ハッとして、
  あなたはもしや、○○さんではありませんか。私は昔、助けてもらった猫でございます。
  この湯に浸かると、猫になってしまいます。お逃げください。と、教えてくれます。
  逃げる男の人。桶を抱えて、ひしゃくで湯をかけようと追ってくる猫たち。
  「ねこになれ〜ねこになれ〜」の言葉がこわい。
   めしくわぬ嫁さま   ある男の人が、飯を食わない嫁ならもらう。と、いうので、皆あきれてましたが、ある日、
  「私は食べません」という綺麗な女の人が来ました。ほんとに何にも食べないので、さすがに
  心配になった男の人が、仕事に出たふりをして、こっそり見ていると・・・嫁さんの後頭部が
  パクッと割れて、おおきな口があらわれたのです。
   河童   かっぱの話は、本当に日本各地にありますね。河童のミイラなんて、あちこちにあるようですし、
  でも、本当かどうかなど、検証したり調べたりなど、いらぬことですね。
  河童はいるんです。きっと。汚してはいけない河の中に。
 雨月物語 UP
 白峯(しらみね)   西行法師が、後白河法皇の霊に遭遇。源平の合戦をはじめ、世に起こる乱は、自分の怨念だと、
  恐いとか、不気味だとかいうよりも、一生懸命、霊をさとし、なんとあさましいことを・・と嘆き訴える
  西行法師の誠実な話しに感心しました(^^ゞ恨みを持つと、理性が薄れ、本能が前面にでるのでしょうか。
 菊花の約(きくかのちぎり)   旅の途中で流行り病に倒れた旅人を、献身的に看病し、この二人は義兄弟の契りを結びます。
  やがて、再会の約束をして、国に戻った旅人は、理不尽な事から、幽閉されてしまいます。
  約束の日に間に合わない。だが魂なら間に合う。この人は自害し、魂が、約束の日尋ねてくるのです。
  義兄弟の敵とばかりに、その国に乗り込んで、相手を斬ってしまう場面は、びっくりしました。
 浅茅が宿(あさぢがやど)   つらい労働で貧しい暮らしより、都に出て商売を・・と、妻を残して白絹を売りに出た男の人。何年も戻らず、
  そのうち戦で故郷が全滅と聞き、妻も生きてはいないだろうと、ずっと戻らなかったのです。そして、ある年、
  故郷を訪ねてみると、自分の家だけ、荒れ野に残り、妻もいるではありませんか。でも、その妻は、すでに、
  この世のものではなかったのです。
 夢応の鯉魚(むおうのりぎょ)   ずっと眠ったままの男の人が、目覚めてすぐに、調理直前の鯉を逃がすように訴えます。
  その人は眠っている間、ずっと、その鯉になっていたというのです。普通、うろたえて大騒ぎしますよね(^^)
  でも、目覚めてからの話し方が雅なのです。昔の方は、落ちついてらしたのですね。
 仏法僧(ぶっぽうそう)   高野山に上った父と息子。弘法大師の霊廟前で、関白秀次と重臣たちの霊に遭遇します。見つかって、
  一句詠まされたり、気に入られて連れて行こうかと言われたり。その時、重臣の霊が「この者たちは、まだ、
  寿命がつきてないものでございます。いつもの悪い癖をお出しなさいますな」。というのです。なんだか、
  霊になっても、現世と同じ様に暮らしているようで、ある意味、微笑ましく思ってしまいました。
 吉備津の釜(きびつのかま)   釜を使って、婚姻の吉凶を占う。良くない結果がでてしまった婚姻でした。妻を裏切り、他の女と出て行く夫。
  恨みを抱えて、この世を去った魂の情念。まずは、夫を奪った女への復讐から始まり、じわじわと追い詰める。
  こ・・こわい。これ以上、詳しく書くのはパス。
 蛇性の婬(じゃせいのいん)   裕福な家の、文学好きの次男坊。美しい女性と知り合い、見初められ、その人のところに通います。真剣に
  お付き合いを考えていたのに、その女性は、蛇の化身だったのです。恋しい恋しいと、おそろしいまでの執念。
  今で言えば、ホラーストーカーでしょうか。でも、中国の白蛇伝と重なるところがあって、なんだか、
  書き方一つで、こんなにも、蛇の恋心が恐ろしいものと、表現されるのかと、思いました。
 青頭巾(あおずきん)   ある寺の住職が、可愛がっていた稚児の死を悲しむあまり、鬼と化してしまう話。これもね〜。詳しく書くのは、
  ちょっと躊躇してしまいます。でも、猟奇的な場面が、リアルに書かれているわけではありませんから、
  読んでも大丈夫です(^^)。ただ、言葉にして、ここに書くのは、ちょっとパスしますね。
 貧福論(ひんぷくろん)   小さなお爺さんの姿をした「小金の精」が、あらわれて、「貧富論」なるものを、話し始めます。
  「貧富の差というものは、前世の報いであるともいうが、それは、おかしな話。そんなことはない。お金とは・・」
  と、語ります。きちんとした理論。迷信を否定はしないが、それにも理論がある。
  怪談というには、少し、異色な話だと感じました。

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