桃太郎(犬の憂鬱の巻)
                


「鬼が島へ、鬼退治に行ってくる〜!」

桃から生まれたという、この子どもの決断。
これを聞いたとき、犬の目は、点になった。

ほんとに、何を思ったのか、この、能天気な子どもは・・。
あの、じいさんたちもだ。
「桃太郎や、気をつけていくんだよ〜」って、・・・普通止めるだろ。

心配だから、ついていくと、きび団子が欲しいの?と、言った。
アホか!義と信に厚い、犬に対して何を言う!

「そうか、おまえも鬼退治に行きたいんだね」
・・・・・なんで、そうなる・・。
目をきらきらさせて、夢と希望に胸をわくわくさせている。その顔。

犬は、特大のため息をついて、言った。
「きび団子、ひとつください。お供します。」

きび団子契約だと、半分冗談、半分ヤケクソ(失礼)
だが、これが、いけなかった。


まず、猿がひっかかった。
        
桃太郎と犬が、野宿をしている時、きび団子を狙ってきた猿。

あっさり犬から背中をおさえられ、団子を握ったまま叫んだ。
「なんでも言う事ききますから〜!たすけて。」

・・・・・きび団子契約成立。



「いぬ〜」
嬉しそうに歩いていく桃太郎の後ろで、猿が、心配そうに呟く。

「あきらめろ。団子を食った時点で、おまえの運命は決まった。」
犬は鼻をフンと鳴らして言った。
「逃げるかと思ったら、しっかり3っつも食っただろ。・・働けよ」

「なんで、きび団子食ったら、お供することになるんだよ!!」
猿は犬を睨んで、抗議する。
「なんとなく、そうなったんだ。桃太郎は思い込みがはげしい。」
犬はシレっと答える。
「むちゃくちゃだなぁ・・なんだそりゃ。」

猿は面倒なことになったと顔をしかめて、けっ・・と嘯く。
犬はそれを横目で見て、口の端を少し上げた。

こいつは・・使える。
犬は、どこか、ふてぶてしい、この猿を、拾い物だと思っていた。





      くちやかましいけど、頼れる軍師。雉の登場は、この次の話。